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東京星光会


第5回世の光応援団のご報告

ご報告が大変遅くなり失礼しました。
回を重ねる毎に活発化している世の光応援団。
その第5回目のご報告です。

第5回「世の光応援団」が平成25年5月11日(土)に開催されました

「世の光応援団」は、大阪星光学院を卒業した大学生や若手社会人を対象にした講演会で、星光卒業生が社会で貢献する人材(世の光)になるために必要な知識や心構えを持つ一つのきっかけになることを目的としています。今回で第5回を迎えましたが、40名以上の学生・若手社会人が集まりました。

今回は、ユーグレナ社代表取締役社長の出雲充さんをお招きして、以下のようなお話を伺いました。



出雲さんのネクタイ、鞄、傘は全てミドリムシ色で統一されており、また、ミドリムシについてお話になるときは、目が非常に輝き、声が非常にとても大きくなり、生き生きとされていて、ミドリムシに対する情熱がひしひしとこちらに伝わってきました。



◎大学時代にバングラデシュで受けた衝撃「栄養失調と食糧不足の違い」
大学に入り、念願の国際支援を行うため、バングラデシュに行きました。バングラデシュは最貧困国の一つだったので、私はお土産としてカロリーメイトをできる限りたくさん持っていきました。しかし、バングラデシュにはお腹を空かせている子どもはいませんでした。子どもたちは、毎食好きなだけカレーを食べることができました。
しかし、カレーの中には、何も具が入っていません。動物性たんぱく質の不足からお腹がポコッと出ている子が多く、栄養失調で苦しむ子供は非常に多かったのです。
勘違いされている人が多いと思いますが、栄養失調と食料不足は全く違う問題です。この世界に食糧が不足している地域などほとんどないのです。現にアフリカにも主食となる植物は充実しており、炭水化物は十分に足りています。飢餓に苦しむ人々は、空腹でなく栄養失調に苦しんでいるのです。
人間には植物が作る栄養と動物が作る栄養が必要です。しかし、飢餓に苦しむ地域では、これらの栄養を採ることができません。だから、これらを一度に摂取できる食べ物はないかと考え続けました。
そして出会ったのがミドリムシです。ミドリムシは光合成をおこなう植物でありながら運動を行う動物でもあり、人間に必要な栄養素が59種類含まれています。ミドリムシ1グラムは、梅干し50グラム分のベータカロチン、牛肉のレバー50グラム分のビタミンD、あさり50グラム分の亜鉛・・・に匹敵します。たった1グラムのミドリムシで、全世界の飢餓に苦しむ10億人の人を助けることができるのです。
僕はミドリムシを途上国に届けることで、世界を救うことに決めました。



◎ミドリムシの可能性「医療、バイオ燃料・・・」
ミドリムシは環境問題にも応用可能です。現在、石油の使用による二酸化炭素の排出が気候変動を引き起こしており、この問題への解決策としてバイオ燃料が期待されています。
しかし、普通の植物性由来のバイオ燃料では、車や船ならば動かすことができますが、飛行機は動かすことができません。ところが、動物でもあるミドリムシから作ったバイオジェット燃料ならば飛行機を動かすことも可能です。
近い将来、ミドリムシを原料にしたバイオジェット燃料の飛行機を当たり前にしたいです。



今回は講演者(出雲さん)との距離を近くするため、車座で行い、闊達な質疑応答が交わされました。



◎孫悟空からルフィへ「求められるヒーローの変化」
バイオジェット燃料の開発をすべてわが社でやろうとすると多大な時間と費用が掛かります。そこで、他の会社と提携してこのプロジェクトを推進しています。優れた技術を持つ人の力を借りることはすべてに通じる肝要なことです。
かつてドラゴンボールの孫悟空は、宇宙で一番強くなるまで修行して、最終的には、自分自身で敵を倒しました。しかし、ワンピースのルフィは、海賊王になるために、チームづくりに力をいれています。これは、求められるヒーロー像が時代とともに変化している現れです。

◎出雲さんの信念「世の中にくだらないものなんてない」
最後に私が大事にしていることをお伝えします。「世の中にはくだらないものなんてない」ということです。くだらないと考えるのはその人自身なのです。くだらないものなんてないと考える人にチャンスはめぐってくるのです。
銀行の1年目は、たくさんのATMにお金を補充することが仕事ですが、1日に何度も札束を運ぶのは重たくて、とても大変です。
できる限り省力化するため、ATMのお金の減り方を自分なりに分析してみました。すると、雨の日は少ない、決算の5・10日は多いなど気づくことがたくさんあり、札束を運ぶ回数を最小限にすることができました。そして、空いた時間は先輩や同期の仕事を率先して手伝いました。こうした積み重ねが、銀行の上層部からも信頼されて、1年目から大きな仕事を任されるようになりました。
また、銀行を辞めて、ミドリムシの屋外大量培養について研究をしているときは、全てのミドリムシの研究者のところに会いに行き、意見をいただきましたが、それが今は糧になっています。
「世の中にはくだらないものなんてないのです。」



講演会終了後は、星光OBによる「懇親会」が開催されました。学生・社会人の幅広い世代のOBが参加し、またOB同士の交流も深まる会になりました。同窓生の会話は尽きることがなく、東京でひとり暮らしをする学生にとっても、心強い会になったようです。


2013/09/30