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ボランティア部


2016年8月熊本ボランティア前班(H1奈良)

熊本ボランティア

 大阪星光学院高等学校 高1 奈良昌弥

ブロック塀を壊す

 熊本へ出発する前、震災から約四か月も経っているのだから、ある程度復興は進んできているのだと思っていた。益城町にある熊本空港に到着しても、その予想に反しない、普通の街並みが広がっていた。飛行機は離着陸しているし、周辺の道路にも車がいくつか見られた。被災の爪痕すら感じられなかった。しかし、空港から車で1、2時間ほど行くと、のどかな風景から一転して、その想像とは全く異なった景色が見えてきた。まず目にしたのが、荒れたまま立ち入り禁止になっているアパート。そこから、一階が押しつぶされた住宅、ひび割れたままのアスファルト、さらには、グチャグチャに凹んだ車や、土砂崩れで土がむき出しになった山、橋が崩落して道が途中で崖になっているところ。目に入る景色一つ一つが信じられないようなものばかりだった。自然の恐ろしさを感じたが、同時に被災当初と変わらない光景だという現実が見えてきた。4か月経ってこの状況ならば、完全に復興するまでは一体どれだけの月日が必要なのだろうかと気が遠くなる思いがした。

 そして実際にボランティア活動をしてみて、最も感じた事は、ボランティアの力不足、ただそれだけだった。僕らの活動は、あるお宅のヒビの入ったブロック塀を破壊し運搬することであったり、震災で荒れてしまった家から必要な家具などを運び出したり、処分するものは分別して廃棄所に運んでいく、といったものだった。どの日も10人程度で全員が、朝から夕方までしっかり仕事をしたが、たった一軒の家の壁を壊す、あるいはたった一軒の、しかも比較的被害の小さい家の物を仕分けすることだけしか出来なかった。車から損壊した家を見る度に、これらを元どおりにするのに、どれくらいの人数が必要なのかと思うと、今回の僕らの活動は、復興の何千、何万分の一にも満たないのかもしれないと思えてきて、ボランティアの、とういうよりもむしろ、自然に対する人間の非力さを痛感することになった。

 このように、熊本地震の被害はいまだに大きく残っている。しかし、関西にいると熊本の現状を把握することは難しく、日常生活の中で忘れられがちな部分がある。復興への手立ての一つには、政府や自治体の積極的な支援活動、あるいは定期的な現地の報道が挙げられると思うが、またその一つに今回の僕たちの活動を周囲に広げていくこともあると思うし、そこまでがボランティア活動なのではないかと思う。まずは、現地の状況をできるだけたくさんの人に知ってもらうことが大切なのだ。

 さらに、ボランティアを通じて、また一つ貴重な経験ができた。現地で人と会うことでまた交流が深まり、相互に助け合っていけるのだと思う。今回の活動は復興の何千、何万分の一にも満たないかもしれないが、熊本の復興はそこからはじまっていくものなのだと思った。

2016/09/19